火とぼし山


  次郎、西の村へ 6


「次郎さん。どこへ引っ越すの」
諏訪湖の西にある村。さっき、
白鷺が飛んでいった方向にある
村だよ」
西山をゆびさし、次郎がいいま
した。



「私、次郎さんと別れるなんて、
いや。ぜったいにいや」
きよは、大好きな次郎とはなれて
暮らす生活なんて、考えられませ
んでした。
「おらも、きよちゃんと別れるのは
つらい。でも、仕事だからしかたが
ない」
次郎は、割り切っているようでした。


       つづく