火とぼし山


   次郎の見合い 11


「どこの若者だろう」
若者の顔をみた明神さまは、あっ
と声をあげそうになりました。
きよの大好きな人、次郎だったか
らです。



その時。
「次郎さーん。私よー」
どこからか、女の人の声が聞こえ
てきました。
みると、桑畑の向こうから、娘が
走ってきました。



「きよが、次郎に会いにきたのだ
ろうか」
明神さまは、そう思いました。
でも、きよではありません。
みたことのない娘でした。


       つづく