火とぼし山


   次郎の見合い 10


次郎さんは、小さな時から、私の
ことを思っていてくれると信じて
いた。
でも、次郎さんの心の中には、見
合いをした人が住んでいるのでは
ないだろうかと、きよは思いました。



次郎さんが、その人を好きになっ
たらどうしよう。
私は、次郎さんに捨てられてしま
うのだろうか。
きよは、不安な気持で、毎日をす
ごしました



十日がすぎました。
明神さまは、いつものように、村
内のみまわりに行きました。
桑畑を通りかかると、若者が桑の
葉をつんでいました。


        つづく