火とぼし山


   湖を泳ぐ娘 3


「誰かと思ったら、きよか。湖
に氷がはれば、氷の上を歩く。
水がぬるめば、湖を泳いで渡る。
ほんとにむてっぽうな娘じゃのぅ。



大の男だって、湖を泳いで渡る
人は、数えるほどしかいない。
それなのに、かよわいおなごが、
こんな夜中に、湖を泳いで渡る
なんて信じられん」
足長が、あきれたようにいいま
した。


        つづく