火とぼし山


   湖を泳ぐ娘 4


「私には、きよの気持が、よくわ
かるわ。危険をおかしてまでも、
一分でも早く、大好きな人に会い
たいという気持。男のあなたには、
わからないでしょうね」
手長がいいました。



「わしにだって、わかるさ。でも、
こんな夜中に、湖を泳いで渡るな
んて危険すぎる。深みにはまった
ら、どうするんじゃ。諏訪湖には、
深い淵になっている場所があるか
らのぅ」
足長が、心配していいました。


         つづく