火とぼし山


  新しい出発 32


「きよ。足長と一緒に、時々遊
びにくるからね。元気で暮らし
てね。じゃあ、私たちは諏訪へ
帰ります」
手長と足長が、なごりおしそう
にいいました。



「気をつけて帰ってくださいね。
明神さまによろしく」
きよは、二人の姿がみえなくな
るまで見送りました。
「今日から、私の新しい生活が
始まるのね」
きよは、そっとつぶやきました。



「そうじゃ。今日から、きよの新
しい生活が始まるのじゃ。きよ、
元気で暮らせよ」
明神さまの声が、再び聞こえて
きました。
その声は、あたたかなやさしい
声でした。



      おわり