日本武尊と明神さまの弓

[童話]日本武尊と明神さまの弓


日本武尊と明神さまの弓 2


「どのように伝えたのだ」
「何度も伝えました。でも、兄は食事の席
に顔をだしません。しかたがないので、今
朝がた、厠へ入るのを待っていてつかまえ
ました。 抵抗したので、手足をもぎとり、
こも(わらを編んで作ったむしろ)に包ん
で捨てました」


「なぜそんな乱暴なことをしたのだ。おお
うすはだいじょうぶか」
「さっき見にいったら、死んでいました」
「ばかもの」
天皇は、大声でおうすをしかりました。
「おうすは、乱暴な恐ろしいこどもだ。こ
んなささいなことで、兄を殺してしまうな
んて」
天皇は、心の中でつぶやきました。


        つづく