童話集「風の神様からのおくりもの」感想文


  柵作太郎さんが書いてくださった感想文


  信州の情景が浮かぶ童話です, 2005/12/21

  レビュアー: 柵作太郎



この童話は信州諏訪を舞台にした風の神様
(明神様)と兄想いの優しい少女の物語です。


物語に出てくる松虫草クジャクチョウ。
薄紫色の花咲く高原に孔雀色の斑点をつけた
クジャクチョウが舞う姿は信州霧が峰高原の
情景が自然と浮かんできます。
何千、何万匹と群生するクジャクチョウ、夢
の中でもいいからそんな幻想的な光景に巡り
合いたいと思いました。



また雪んこの舞の話を読んで、
普段何気なくみている雪が
おそろいの白い服、白い帽子、
白い靴をきた雪んこたちの舞に見え、
何だかいとしい大切なものに見えます。
「るみ、よくがんばったね。るみの舞が一
番すてきだよ」
目の見えない雪んこのるみに
お母さんがかける優しい声が印象に残りま
した。



身のまわりのほんの小さなことや自然から
こんなに優しい物語を作れる作者に感動です。
最後に守屋山にある幻の黄金色の花が福寿草
だったという話を聞いて、春に咲く福寿草
待ち遠しくなりました。


大人が読んでも楽しめる童話だと思います。




風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話