かきつばたになった少女

   かきつばたになった少女  その5


そこへ「ぴゅぅー」と強い風がふいてきました。
鏡のように平らだった水面が、ざわざわと波立
ちました。
そして、水面にうつったかきつばたの顔も、た
ちまちみにくい顔に変わってしまいました。



「さっきまで、あんなにかわいくみえたのに・・・。
このみにくい顔は何?本当にこれが私の顔なの?」
かきつばたは、あまりのみにくさにおどろき、そ
の場にたちすくんでしまいました。
「かきつばたさん、どうしたの?」
山彦が心配して近づいてきました。



「山彦さんは、私の顔はとても美しいといったけ
れど、本当はみるにたえないみにくい顔だったのね」
「そんなことはない。きみの顔は、女神さまのよう
に美しい。まぶしいくらいの美しさだ」
「山彦さん、おせじをいわないで」
「本当だよ。きみの顔は、なんともいえない優しい
顔だ。きみの心の優しさが、そのまま顔にでている」
「でも・・・今水面に顔をうつしてみたら、私はとて
もみにくい顔をしていたわ」


    つづく


「かきつばたになった少女」は、来年
http://www.choeisha.com/ から、
シリーズ「風の神様からのおくりもの4」として発行
される予定です。


    鳥影社のホームページ


http://www.choeisha.com/


     
    かきつばたになった少女 その1

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20051222


     その2     

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20051223


     その3

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20051224


     その4

http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20051225