かきつばたになった少女


   かきつばたになった少女  その4


その後。
かきつばたは、何度か霧が峰へ行きました。
「おばさまに、きすげの花・・・」をという気持
もありましたが、「もう一度山彦にあいたい」と
いう気持が強かったのです。
しかし、山彦にはあえませんでした。



そんなある日。
「今日こそ、山彦に会えますように」
かきつばたは祈るような気持で、山彦と初めて会
った沼のほとりで、山彦がやってくるのをじっと
待っていました。
すると・・・。
草原のむこうから、山彦が走ってくるではありま
せんか。
「やっと、山彦さんに会うことができた」
かきつばたは、胸をどきどきさせながら、山彦が
近づいてくるのを待ちました。



「山彦さん、こんにちは。今日こそ、山彦さんに
会えるかなと思って、朝からずっと待っていたのよ」
かきつばたは、はずかしそうにいいました。
「おらも会いたかった。でも、なかなか会えなかっ
たね」
山彦も、かきつばたに会えてうれしそうでした。



「かきつばたさん、きみは本当に美しいしね」
「私が美しいだなんて。村に帰れば、みんな美しい
かたばかりですよ」
「かきつばたさんはまぶしい位美しい。それに心の
やさしい人だ。おらはかきつばたさんのような美し
い人を、今までみたことがない」
「そんな・・・」
「うそだと思うなら、その沼の水面に、自分の顔を
うつしてごらん」
かきつばたは水辺に行き、自分の顔を水面にうつし
ました。
すると、水面にはかわいい顔がうつっています。
「あら、ほんとうにかわいい顔」
かきつばたは、うっとりしながら、
水面にうつった自分の顔をながめていました。

ところが・・・。

        つづく


「かきつばたになった少女」は、来年
http://www.choeisha.com/ から、
シリーズ「風の神様からのおくりもの4」として発行
される予定です。


    鳥影社のホームページ


http://www.choeisha.com/



私(みほようこ)も、童話の本を三冊作っていただ
きました。



風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話





竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

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ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

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