ライオンめざめる

昨日につづき、童話「ライオンめざめる」を
紹介します。
初めてのかたは、昨日の日記を読んでくださ
いね。


    ライオンめざめる1


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060305



  
    ライオンめざめる2


そう思ったかなは、自分の部屋へもどりました。


「うーん・・・うーん・・・」
しばらくすると、またうなり声が聞こえてきます。
うなり声が気になったかなは、ライオンのロケット
を手にのせて、じっとみていました。
「金でできているライオンが、うなるはずはないし
・・・ね」
かなは、そっとつぶやきました。
でも・・・、耳をすませて聞いていると、うなり声
はたしかにこのロケットの中から聞こえてきます。
しばらくすると、
「い・・た・・いよぉ。・・・いたいよ・・・」
こんな声も聞こえてきました。
「どこがいたいの?」
かなは、ライオンに聞きました。
でも、ライオンは何も答えません。
困ったかなは、ロケットをやさしくなでてあげま
した。



その後。
夜になると、時々ライオンのうなり声が聞こえてき
ました。かなは、そのたびに、ロケットをやさしく
なでてあげます。



「とうちゃん、とうちゃんが誕生日にくれたライオ
ンのロケットね、夜になると、うーんうーんってう
なるの。うなるだけではなく、いたいよぉっていう
の。とうちゃん、どうしたらいい?」
ある夜、かなはおとうさんに聞きました。
「かな、それ本当かい?」
「とうちゃん、本当よ」
「とうちゃんは、金でできているライオンが、うなる
はずはないと思うけれどね」
「私も最初はそう思ったわ。金でできているライオン
が、うなるはずはないって。でも、何度もうなり声を
聞いているうちに、このロケットの中に、だれかがと
じこめられているのではないかと思うようになったの」
「そんなばかな・・・。とうちゃんは、かなのいうこ
とを信じたい。でも、この話だけは、信じることがで
きないね」
おとうさんは、困ったような顔をしました。




さわやかな秋になりました。
かなとりゅうは、高原の小高い丘へ登りました。
りゅうは散歩が大好き。
かなの顔をみると、「散歩に行こう。ねえ、かな
さん。散歩に行こうよぉ」と、大声でさいそくし
ます。


        つづく



童話「ライオンめざめる」は、今年
http://www.choeisha.com/から
発行されるみほようこの童話集・「風の神様から
のおくりもの4」に収録されます。



今、長野ひろかず先生が、挿絵を描いてくださっ
ています。どんな本ができるか、楽しみにしてい
ます。おおぜいのこどもたちに読んでいただきた
いと思います。



今までに発行された「風の神様からのおくりもの」
シリーズ



風の神様からのおくりもの―諏訪の童話




竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)




ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)