ライオンめざめる2


昨日につづき、童話「ライオンめざめる」
を紹介します。



    ライオンめざめる2



「うーん・・・うーん・・・」
しばらくすると、またうなり声が聞こえて
きます。
うなり声が気になったかなは、ライオンの
ロケットを手にのせて、じっとみていました。
「金でできているライオンが、うなるはず
はないし・・・ね」
かなは、そっとつぶやきました。



でも・・・、耳をすませて聞いていると、う
なり声はたしかにこのロケットの中から聞こ
えてきます。
しばらくすると、
「い・・た・・いよぉ。・・・いたいよ・・・」
こんな声も聞こえてきました。
「どこがいたいの?」
かなは、ライオンに聞きました。
でも、ライオンは何も答えません。
困ったかなは、ロケットをやさしくなでてあ
げました。




その後。
夜になると、時々ライオンのうなり声が聞こ
えてきました。
かなは、そのたびに、ロケットをやさしくな
でてあげます。
「とうちゃん、とうちゃんが誕生日にくれた
ライオンのロケットね、夜になると、うーん
うーんってうなるの。うなるだけではなく、
いたいよぉっていうの。とうちゃん、どうし
たらいい?」
ある夜、かなはおとうさんに聞きました。
「かな、それ本当かい?」
「とうちゃん、本当よ」
「とうちゃんは、金でできているライオンが、
うなるはずはないと思うけれどね」


      つづく



童話「ライオンめざめる」は、みほようこ
の童話集・「風の神様からのおくりもの4」
として、今年http://www.choeisha.com/
から、発行されます。


  
      収録される童話


   ・  ライオンめざめる


   ・  笛の音よ、永久にひびけ


   ・  かきつばたになった少女



     
   今までに発行されたみほようこ童話集

   風の神様からのおくりものシリーズ 1−3




       風の神様からのおくりもの―諏訪の童話




       竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)




       ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)