ふしぎな鈴「小桜姫とふしぎな鈴」の章


ふしぎな鈴「小桜姫とふしぎな鈴」5


「・・・」
聞こえなかったのかしらと思い、姫はもう一度
鈴をふり、ゆっくり話しかけました。
でも、桜の花は何も答えません。
姫は何度も鈴をふり、桜の花に話しかけました。
「こんにちは。私、小桜よ」
「・・・?」
「はじめまして。私、小桜です」
「・・・小桜?」
桜の花がとまどっている様子が、姫にもわかり
ました。
「桜さん、聞こえますか?」
姫は、桜の花に話しかけました。



すると、しばらくして。
「はじめ・・・まして・・・小桜姫さま。こんな
に早く・・・姫さまと・・・お話ができるなんて
・・・うれしいわ」
「私もうれしいわ」
「でも・・・姫さま、せっかく・・・お話ができ
るようになったのに、・・・もうすぐ・・・お別
れしなくてはならないの・・・残念だわ」
「なぜ?」
「私たち・・・もうすぐ・・・ちってしまうの」



「でも、また会えるでしょ?」
「ええ、姫さま。来年・・・また会いましょうね。
この鈴のことは・・・だれにも・・・ないしょよ。
・・・姫のおとうさまにもね」
とぎれとぎれでしたが、姫は桜の花と話をするこ
とができました。
「この鈴を七回ふると、花とお話をすることがで
きるのね。なんて不思議な鈴かしら」
姫はそっとつぶやきました。




こうして、姫は花や小鳥たちと、話をすることが
できるようになりました。話ができるだけでなく、
人々の気持や、小鳥や花の気持が、よくわかるよ
うになりました。

                     つづく



「ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の童話。
昨年九月、http://www.choeisha.com/
から、発行されました。




      人はなくなると、

      その人の魂は、どこへいくのでしょうか。




ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)