ふしぎな鈴「校長先生と桜の鈴」の章


ふしぎな鈴「校長先生と桜の鈴」1


それから何ヶ月か過ぎました。
かなは一年生になりました。
かなの小学校へ、長いひげの校長先生がふにんし
てきました。
小柄な色黒の先生でした。
先生のひとみは温かく、いつもきらきらと輝いて
いました。
かなは校長先生が大好きでした。
かなだけでなく、こどもたちはみんな校長先生が
好きだったのです。



校長先生は、毎朝校門の前にたって、こどもたち
を迎えます。
「かな、おはよう。元気かな」
「まさし、おはよう。かぜはもうよくなったかな」
校長先生は、こどもたち一人ひとりに、やさしく声
をかけます。
かなは校長先生の「おはよう」という声を聞くと、
心の中がぱっと明るくなるような気がしました。
校長先生は、まわりにいる人々を、元気にしてしま
うふしぎな人でした。



五月初めの日曜日。
かなは愛犬の”りゅう”と、丘の上の桜をみに行き
ました。
「ホーホケキョ、ホーホケキョ」
どこからかうぐいすの声が聞こえてきました。
「りゅう、うぐいすだよ。良い声だね」
かなは、りゅうに話しかけました。
「どこで鳴いているのかしら」
かなはあたりをみまわしました。



すると、目の前の木に、うぐいすがとまっています。
「ホーホケキョ、ホーホケキョ」
かなが近づいても、うぐいすはにげません。
うぐいすは、かなを案内するかのように、かなの前
をとんでいきます。


       つづく




ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

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