ふしぎな鈴「校長先生と桜の鈴」の章


ふしぎな鈴「校長先生と桜の鈴」2


「不思議なうぐいすだな」
かなはそう思いました。
うぐいすに案内されて丘へつくと、桜が美しく咲いて
いました。
そして、桜の木の下には、校長先生が立っていました。
「美しい桜だねぇ」
校長先生は笑顔でいいました。



かなはおとうさんから聞いた小桜姫の話を、校長先生
に話してあげました。
校長先生はその話を知っていましたが、「ほうー」
「それで」「それからどうしたの」といいながら、か
なのたどたどしい話を、最後まで聞いてくれました。
話し終わったかなは、おとうさんからもらった桃の鈴
を、校長先生にみせました。



「リーン、リーン、コロンころん」
「リーン、リーン、コロンころん」
鈴の音を聞いた校長先生は、はっとしました。
「私はどこかでこの鈴の音を聞いたことがある。どこ
で聞いたのだろうか?」
しかし、どこで聞いたのか、校長先生には思い出せま
せんでした。



「リーン、リーン、コロンころん」
何度も鈴の音を聞いているうちに、校長先生の頭の中
に、遠い昔のある光景がぼんやり浮かんできました。
大きなおやしき…たくさんの木が植えてある広い庭…
庭にやってくるたくさんの小鳥…そして庭で遊んでい
るかわいい女の子。
遠い昔のことが、少しずつ少しずつ校長先生の頭の中
によみがえってきたのです。


      つづく




ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

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