ふしぎな鈴「お月さまの耳かざり」の章


ふしぎな鈴「お月さまの耳かざり」2


その時、お月さまにむかって、きらっきらっと光
りながら、星が近づいてくるのをみつけました。
その星は、お月さまに近づいてきます。
あの星はたしか金星、よいの明星とか明けの明星
とかよばれている星です。



「お月さまと星が、衝突するのではないかしら」
 かなは心配になりました。
「あっ、大変!」
 かなが大声でさけんだ時、お月さまの耳のあた
りに、金星がぴたっとつきました。
「わぁー、お月さまの耳かざりみたい。すてきだ
わ。私もあんな耳かざりがほしいなぁ」



すると、どこからか声が聞こえてきました。
「かな、この星の耳かざりをあげよう。この耳か
ざりをつけるとね、どんな願い事でもかなうのだ
よ。ただし一回きりだけれどね」 
その声は、どこかで聞いたことがあるような、な
つかしい声でした。
「誰だろう?」
あたりをみまわしましたが、誰もいません。
空をみあげると、お月さまがにっこり笑っていま
した。



「あっ!」
かなが大声でさけんだ時、お月さまの耳について
いた星が、するするとおりてきました。
そして、かなの耳に、ぴたっとつきました。
「なんてすてきな耳かざりだろう。うれしいなぁ。
お月さま、どうもありがとう」
お月さまにむかって、かなは何度もお礼をいいました。


      つづく




ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)