ふしぎな鈴「お月さまの耳かざり」の章


ふしぎな鈴「お月さまの耳かざり」3


かなとりゅうは、いそいで家に帰りました。
かあちゃんかあちゃん。大変、大変」
かなはねているおかあさんの枕元へ、とんで行きま
した。
「かな、すてきな耳かざりね。どなたにいただいた
の?」
おかあさんはかなに聞きました。
かなは散歩の途中で、お月さまから星の耳かざりを
もらったことを話しました。



おかあさんは乳にがんができて、この間手術をした
ばかりです。おかあさんは乳を切ってしまったので、
手が上にあがりません。ふっくらしていたおかあさ
んの顔が、日毎にやせていくのをみて、かなは心配
でたまりません。
「そうだ、この星の耳かざりをかあちゃんにあげよう。
そうすれば、かあちゃんの病気もきっとよくなるにち
がいない」
かなは思いました。
そして、おかあさんの耳に、星の耳かざりをつけてあ
げました。



すると・・・。
おかあさんのほおが、ほんのり赤くなりました。
次の朝、かなが目をさますと、おかあさんは朝ごはん
のしたくをしていました。
かあちゃん、おきて大丈夫?」
「かな、大丈夫だよ。かなに耳かざりをつけてもらっ
たら、なんだか元気になったみたい」
おかあさんはうれしそうにいいました。



その夜、かなはお月さまをみました。お月さまの顔は
、昨夜よりふっくらしています。
「お月さま、昨日は星の耳かざりをありがとう。耳か
ざりのおかげで、かあちゃんは少し元気になりました。
お月さま、本当にありがとうございました」
かなはお月さまに、何度もお礼をいいました。
「かな、おかあさんが元気になってよかったね」
お月さまのやさしい声が、聞こえてきました。





ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

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