ふしぎな鈴「お月さまの耳かざり」の章


 ふしぎな鈴「お月さまの耳かざり」1


秋のある日。 
かなはりゅうと一緒に、散歩に行きました。りゅうは
散歩が大好き。かなの顔をみると、「散歩にいこう、
散歩にいこう」と、大声でさいそくします。



かなとりゅうは、いつもの道を走ったり、歩いたり、
休んだりしながら散歩しました。
細い道のまわりには、ずっとたんぼが続いています。
たんぼにはかりとったばかりの稲が、はざにかけてあ
りました。はざのまわりを、赤とんぼがすーいすーい
ととんでいます。



雲ひとつない真っ青な西の空が、だんだんにうすいク
リーム色に変わってきました。かなとりゅうは、たち
どまって西の空をじっとみていました。
すると、空の色がうすい橙色から、濃い橙色になりま
した。
「なんてきれいだろう」
みていると、もっと美しいあかね色になりました。



どの位の時間が過ぎたのでしょうか。
気がつくと、あたりはうす暗くなっていました。うす
暗くなった道を、かなとりゅうは、家にいそぎました。
長い坂道をのぼり、平らな道にでた時、空にはもうお
月さまがでていました。
今日のお月さまは細い三日月です。


       つづく



ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

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