ふしぎな鈴「ふしぎなリュック」5
すると、先生の背中のリュックが、鈴めがけて
ころんところがってきました。
そして、灰色のリュックも、ピカッピカッ、キ
ラッキラキラと、黄金色に輝きだしたのです。
「なんて美しい鈴の音だろう。私はこの桃の鈴
をもっている少女に会える日を、ずっと長い間、
そう五百年近くじっと待っていたのです。
やっと、探していた鈴と少女に会うことができ
ました。私はとてもうれしい。
私はただの古いリュックではないのです。
遠い昔、三浦家に伝わったリュックで、行きた
いと思う所へ、さっと飛んでいける不思議なリュ
ックなのです。かなさんが好きな月や星へも行け
ますよ。なくなったおとうさんたちが住んでいる
国へも、飛んで行けるのですよ」
リュックはそういいました。
かなと先生は、びっくりしてただ顔をみあわせる
ばかりでした。
「十年後、この丘の桃の花が満開になった日、か
なさんが行きたいと思う所へ、つれていってあげ
ましょう」
そういうと、黄金色のリュックは、またもとの灰
色のリュックにもどってしまいました。
気がつくと、鈴ももとの鈴にもどっていました。
つづく
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