ふしぎな鈴「ふしぎなリュック」の章


   ふしぎな鈴「ふしぎなリュック」6


「十年後、桃の花が満開になった日、またこの丘
であおう」
先生は、かなとかたく約束しました。
「先生、きっとよ。いつまでも私のことわすれな
いでね」
「わすれるものか、かな。十年後かならずこの丘
であおう」
二人はそう約束しました。
「リーン、リーン、コロンころん」
「リーン、リーン、コロンころん」
美しい鈴の音が、あたりにひびきわたりました。



「古杉先生はね・・・ずっと昔、小桜姫の・・・
だった人よ。二人がこの世でまた会えて、本当に
よかったね」
風が桃の花とおしゃべりしていました。
でも、二人の耳には、何も聞こえなかったのです。
その時、さわやかな風が、ぴゅーと二人の間をと
おりすぎていきました。


 
「かなー、十年後を楽しみにねー」
どこからか小桜姫さまの声が聞こえてきました。
その声は優しい温かな声でした。  
 
    

ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)

ふしぎな鈴 風の神様からのおくりもの (3)