信州の佐久地方には、「白駒の池」という美しい湖が
あります。「白駒の池」には、悲しい伝説があります。
悲しいお話とは・・・?
伝説をヒントにして、みほようこが書いた物語。
「白駒の池」7
梅雨があけた七月のある日。
「清太さん。ゆうすげの花って、みたことがある?」
「あるよ。一度だけ。何年か前、長者のおともで、夕
暮れに霧ケ峰高原を通ったことがある。その時、どこ
からか良い香りがしてきたんだ。何の香りだろうと思
って、長者と二人で香りのする方へ行ってみた。する
と、レモン色の美しい花が咲いていた。それが、ゆう
すげの花だったんだ。きよちゃん。とても美しい花だ
ったよ」
清太は、夕暮れに咲いていたゆうすげの花を思いうか
べながら、いいました。
「おれ、もう一度、ゆうすげの花がみたいなぁ」
「私も、ゆうすげの花がみたいわ」
「でも、きよちゃん。ゆうすげの花は、うす暗くなら
ないと、咲かないのだよ。夕方おそく、二人で遠出す
ることは、長者が許してくれないだろうしね」
「私、とうちゃんに聞いてみる。もし、とうちゃんが
許してくれたら、ゆうすげの花をみに、霧ケ峰高原へつ
れていってくれる?」
「もちろん。一緒にみに行こう。長者が、夜の外出を
ゆるしてくれるといいね」
二人は、ゆうすげの花をみるのを、楽しみにしています。
つづく
この物語を初めて読んでくださったかたへ
下のページを読んでくださいね。
白駒の池 1
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060819
その2
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060820
その3
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060821
その4
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060822
その5
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060823
その6
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20060824