童話「白駒の池」


  「白駒の池」9


途中の草原には、あざみややなぎらんの花が、美し
く咲いていました。
車山では、日光きすげの花が満開でした。山の肩だ
けでなく、山のすそのほうまで、山一面に日光きす
げの花が咲いています。
数千本、いや数万本・・・もっとあるでしょうか。
日光きすげのみごとな群落でした。車山全体が、黄
橙色にそまっています。



「わぁー、きれい!!」
二人は、おもわず大声をあげました。
「私、こんなにたくさんの日光きすげをみたのは、初
めて。今年の花は、みごとね」
「おらも、初めて。まるで、日光きすげの山みたいだね」
二人は、馬からおりて、日光きすげの咲いている高原を
歩きました。



「きよちゃん、白駒のことを聞いてもいい?」
「いいわ。あらたまって、何?」
「白駒って、何才になるの?」
「私が七才の時に、わが家にきたから、11才かな」
「白駒は、どこからきたの?」
「それがね・・・どこからきたか、わからないの」
「わからないって、どういうこと?」


                                                      つづく


童話「白駒の池」について


信州の佐久地方には、「白駒の池」という美しい湖が
あります。その湖には、悲しい話が伝わっています。
悲しいお話とは・・・? 
童話「白駒の池」は、「白駒の池」の伝説をヒントに
して、みほようこが書いた物語。