童話「女神さまとの約束」


  童話「女神さまとの約束」5


「とうちゃん。まっていてね。私、八ヶ岳へ行
って、黄金色の花をさがしてくるから・・・」
今にも死にそうな人を、一人残していくことは
心配でしたが、黄金色の花さえみつかれば、と
うちゃんが元気になれるかもしれない、ふくは
そう思いました。



「あなたの名前は、なんていうの?」
「私の名前は、白駒。ふくさんと一緒に、黄金
色の花をさがすようにと、女神さまからいわれ
ました」
「白駒というのね。私と一緒に、黄金色の花を
さがしてくださいね。おねがいします」
ふくは、白駒にお願いしました。
そして、白駒の背にとびのりました。



白駒は、「ひひーん」と一声なくと、すごいい
きおいで走りだしました。
その早いことといったら。ふくはふりおとされ
ないように、白駒にしっかりしがみつきました。
白駒は、野をこえ里をこえ、あっという間に、八
ヶ岳につきました。



みると、高いけわしい山が、帯のようにずっと長
く続いています。
「この山のどこかに、黄金色の花が咲いているの
ね。どの山に咲いているのかしら」
「さあ、どの山に咲いているのでしょうね」
白駒も、黄金色の花がどこに咲いているのか知ら
ないようでした。
「黄金色の花が、早くみつかりますように」
ふくは、心の中で女神さまにお願いしました。


       つづく