童話「女神さまとの約束」


「女神さまとの約束」4


「こんなに早く、誰だろう?」
ふくは、玄関へでてみました。
すると、白い馬が立っています。
馬は、口に手紙をくわえていました。
「誰からの手紙かしら」
ふくは、いそいで手紙を読みました。



「私は、八ヶ岳にすんでいる女神です。大雪
の夜、あなたの家に泊めていただいた者です。
大雪の夜のことを、おぼえていますか。
あなたは、本当に心のやさしい娘ですね。あな
たのことは、小さな時からよく知っていますよ。
私が、あなたのおとうさんを助けてあげましょう。
この白い馬に乗って、黄金色の花をさがしなさい。
黄金色の花は、八ヶ岳のけわしい岩場に咲いてい
ます。



黄金色の花がみつかったら、おとうさんをその
場所へつれていき、養生させなさい。そうすれ
ば、おとうさんは元気になれるでしょう。
おとうさんが元気になったら、その花が咲いて
いる場所で、おおぜいの体の悪い人をなおして
あげてほしいのです。
どんなことがあっても、けっして黄金色の花が
咲いている場所をはなれてはいけません。
黄金色の花が、早くみつかるとよいですね。
八ヶ岳の女神より」
手紙には、そう書いてありました。



大雪の夜、ふくの家に泊まった女の人は、八ヶ
岳の女神さまだったのです。
「やはり、あのかたは、女神さまだったのね」
ふくは、心の中でそっとつぶやきました。
 

    つづく