童話「女神さまとの約束」


童話「女神さまとの約束」13


白駒は、こまってしまいました。
「三日くらいだったら、だいじょうぶだろう」
そう思った白駒は、しぶしぶ福を家に送っていき
ました。
「福さん、わかっていますね。三日間だけですよ。
三日たったら、迎えにきますからね」
そういって、白駒は帰って行きました。



「とうちゃん、ただいま。帰ってきたよ」
「福。女神さまとの約束は、どうしたのかね。約
束を守らないと、大変なことになるというではな
いか。だいじょうぶかい?」
「とうちゃん。三日たったら、また硫黄岳へもど
るから、心配しなくてもだいじょぶだよ」
「そうか。じゃあ、ゆっくり休んでおいき」
長者は、福に会えてうれしそうでした。



何事もなく、二日間が過ぎました。
三日目の朝のことです。
「とんとん、とんとん」
玄関の戸をたたく音がしました。
でてみると、白駒でした。
白駒は、かなしそうな目をして立っています。福
は、白駒のこんなかなしそうな目をみたことがあ
りません。



福は、誰かにあやつられるように、すぅーと白駒
の背にのせられました。
「ひひーん」
白駒は、悲しそうな声で一声なくと、すごいいき
おいで走りだしました。
野をこえ、山をこえ、里をこえて、白駒は走って
いきます。
 

                           つづく