ライオンめざめる


ライオンめざめる8


そして、あっという間に、五十センチ
くらいの大きさのライオンになりました。
りゅうはわんわんなきながら、ライオ
ンのまわりを走りまわっています。
しばらくすると、ライオンはふつうの
大きさになりました。



「うおー」
ライオンが、うれしそうな声をあげま
した。
「かなさん、ありがとう。やさしいか
なさんのおかげで、私は長いねむりか
らさめることができました」
ライオンは、うれしそうにいいました。
かなはびっくりして、大きくなったラ
イオンをみています。



「少女よ、わしは諏訪の神・明神じゃ。
おまえはほんとうに心のやさしい少女
じゃのぅ。わしは諏訪の地をあちこち
みて歩いているので、おまえのことも、
りゅうのことも、よーく知っているぞ。
おまえは何千年ものあいだ、だれも聞
くことができなかったライオンの声を、
よく聞くことができたねぇ」
神さまは、感心したようにいいました。


               つづく



「ライオンめざめる」は、みほようこ
の四冊目の童話集・「ライオンめざめ
る」に収録されています。


「ライオンめざめる」は、風の神様か
らのおくりものシリーズ4。
今年十月、「鳥影社」から発行されま
した。




ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))

ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))