ライオンめざめる


     ライオンめざめる9


「かな、さっき松虫草のまわりを舞っ
ていたちょうは、何というちょうか知
っているか」
「知りません。神さま、何というちょ
うですか?」



「くじゃくちょうというのじゃ。この
高原へきても、めったにくじゃくちょ
うには会えんぞ。心のやさしい少女が
この高原にくると、くじゃくちょうは
どこからかでてくるのじゃ。
でも、ほんとうにやさしい人しか、く
じゃくちょうの姿はみえないのじゃ。



わしもそこでくじゃくちょうの舞をみ
ていたが、うっとりするような舞じゃ
ったのぅ」
神さまは、くじゃくちょうのことを、
いろいろ教えてくれました。



「神さま、ライオンはなぜ小さくされ
てしまったのですか」
かなは、神様にたずねました。
「このライオンはのぅ、二千年くらい
前、西の国の王妃がかわいがっていた
ライオンなのじゃ。
ある日、ライオンは魔法をかけられ、
小さくされてしまったのじゃ」


つづく



「ライオンめざめる」は、みほようこ
の四冊目の童話集・「ライオンめざめ
る」に収録されています。


「ライオンめざめる」は、風の神様か
らのおくりものシリーズ4。
今年十月、「鳥影社」から発行されま
した。




ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))

ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))