竜の姿をみた少女


    竜の姿をみた少女3


「じゃあ、今日は、竜になった三郎の話をしてあ
げよう」
おとうさんは、湖のまわりを歩きながら、竜にな
った三郎の話をしてくれました。



そのお話とは。
むかーし、昔。ずぅーと昔。
たてしな山のふもとに、小さな村がありました。
その村に、太郎・次郎・三郎という、仲のいい兄
弟が住んでいました。
兄たちは、末っ子の三郎を「三郎や、三郎や」と
いってかわいがっています。三郎も、兄たちが大
好きでした。



ところが・・・。
三郎があまりに美しい妻をもらったので、兄たち
は三郎にやきもちをやきました。
やきもちをやいた兄たちは、三郎を魚つりにさそ
いだし、湖の深いふちにつき落としてしまったの
です。
湖につき落とされた三郎は、神様に助けられ、地
の国の王子になりました。
三郎は、地の国で十年近く暮らしました。地の国
の生活は、夢のような生活でしたが、三郎は愛す
る妻のことを忘れることができませんでした。



三郎は、神様の許しをもらい、千日かけて、やっ
との思いで村にもどってきました。
しかし、三郎は、なぜか竜になっていたのです。
こんなお話でした。


つづく



「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の
童話集・「竜神になった三郎」の続編。



竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)



湖につき落とされた三郎が、地の神に助けられ、心
のやさしさゆえに、竜神となる表題作ほか、守屋山
の明神様にまつわる、福寿草と少女の話を収録。
信州諏訪の風の神様から聞いた話をまとめた第2弾。


    ・  竜神になった三郎

    ・  福寿草になった少女



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