竜の姿をみた少女4
「とうちゃん。三郎は、なぜ竜になってしまったの」
「なぜだろうね。三郎は、長い間地の国で暮らして
いたからだとか、鹿のきもで作ったもちを千枚も食
べたからだとか、いろいろいわれているが、ほんと
うの理由はわからないね」
「とうちゃん。竜って、どんな姿をしているの」
「さあ、どんな姿をしているのだろうね。大きな角
があるとか、たくさんのうろこがついているとか、
美しい玉を持っているとかいわれているが、とうちゃ
んにもわからない。今夜、竜の絵をみせてあげよう」
おとうさんは、絵でみた竜の話をしてくれました。
その後。
かなとおとうさんは、湖のほとりで、ときどき竜の
話をしました。
おとうさんから、竜の話を聞いたかなは、「しらか
ば湖に、竜がいるといいな」と思うようになりまし
た。
「竜? そんなもの、いるはずないよ」
「村に伝わっている大昔の話だろ」
「この世に、竜なんているはずないじゃん」
「かなちゃん。湖に竜がいると思っているの。馬鹿
みたい」
友だちは、みんなそういいます。
つづく
「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の
童話集・「竜神になった三郎」の続編。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 単行本
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