竜の姿をみた少女6
そんな春のある日。
かなは、一人でしらかば湖へ行きました。
そして、しらかばの木の下で、湖をながめていま
した。
すると・・・。
どこからか、小さな声が聞こえてきました。
「だれかしら?」
あたりをみまわしましたが、だれもいません。
耳をすませて聞いていると、こんな話し声が聞こ
えてきました。
「しらかばさん。・・・三郎さまは・・・今年も
・・・この湖へ・・・みえるかしら」
「ああ、みえるとも。・・・三郎さまは・・・こ
の村が・・・大好きだからね」
「三郎さまは・・・いつ・・・この湖へみえるか
しら」
「湖の氷も・・・とけ始めたし・・・ぼつぼつ・
・・みえるのではないかな」
「三郎さまが・・・早くみえるといいね。・・・
私、諏訪の話を・・・聞きたいわ」
しらかばといぬのふぐりの花が、話をしていたの
でしょうか。
「三郎さまって、だれのことかしら。竜になった
三郎のことかな」
かなは、そう思いました。
つづく
「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の
童話集・「竜神になった三郎」の続編。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 単行本
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湖につき落とされた三郎が、地の神に助けられ、心
のやさしさゆえに、竜神となる表題作ほか、守屋山
の明神様にまつわる、福寿草と少女の話を収録。
信州諏訪の風の神様から聞いた話をまとめた第2弾。
・ 竜神になった三郎
・ 福寿草になった少女
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