福寿草になった少女4
「だんなさま、門の所に赤ちゃんが・・・・・
赤ちゃんがいます。
「何?赤ちゃんがいると・・・・・・」
「はい、赤ちゃんがいます」
長者と妻は、いそいで門の方へ走って行きま
した。
門のそばには、桃色の布で包まれた赤ちゃん
がおいてありました。
白い産着をきた、生後一ヶ月くらいの女の子
でした。
「この子のこと、どうかよろしくお願いします」
そう書かれた手紙と守り袋が、女の子のそばに
置いてありました。
長者が守り袋をとりあげると、「リーン・リー
ン」と、良い音がしました。
中に鈴が入っているようです。
女の子のおかあさんが、お守りのつもりで、鈴
をおいていったのでしょうか。
長者が袋をあけてみると、中に黄金色の鈴が入
っていました。
「おや?鈴に紋がついている。この紋はたしか
・・・・・・梶の紋。梶の紋といえば、明神さ
まの紋じゃが。この子は、明神さまに関係ある
人のこどもなのじゃろか」
つづく
童話「福寿草になった少女」は、みほようこの二
冊目の童話集・「竜神になった三郎」に収録され
ています。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
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