竜神になった三郎


    竜神になった三郎10


魔の日曜日がやってきました。
「おっかあ、行ってくるぞ。大きな魚をつってく
るから、楽しみにして待っていておくれ」
そういって、三郎は暗いうちに家をでていきまし
た。
「三郎さん、大きな魚を沢山つってきてね。気を
つけてね、いってらっしゃいー」
妻は、いつものように三郎を見送りました。



数時間後、三人はやっと諏訪湖につきました。
小さな舟にのり、三人は湖の真ん中めざしてすす
みます。
湖はようやく氷がとけはじめたばかりでした。
春の日をあび、湖はきらっきらっと輝いています。



三郎は、久しぶりの魚つりを楽しみにしています。
「三郎、もう少しむこうまでいこう」
太郎がいいました。
気のいい三郎は、ひっしに舟をこぎました。
そして、やっと湖の真ん中あたりにきました。
「三郎、疲れただろ。ご苦労だったな。ここらで
いいだろう。天気も良いし、今日はたくさん魚が
つれるぞ」
兄たちはなぜか上きげんでした。


つづく



竜神になった三郎」は、みほようこの二冊目の童話集・
竜神になった三郎」に収録されています。



竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)