朝顔のエスカレーター


   朝顔エスカレーター2


「かな、おじいちゃんとおばあちゃんに、
かわいがってもらったことを、いつまでも
忘れないようにね。元気で明るく生きてい
くのだよ」
おとうさんはいいました。
そして、桃の実の形をした鈴を、かなにく
れました。



「リーン・リーン・コロンころん」
なんともいえないいい音がします。
「この鈴はね、鎌倉のお寺の和尚さんから
いただいた鈴だよ。
この春、丘へ桜をみに行った時、小桜姫の
話をしてあげたね。おぼえているかな?



この鈴は、小桜姫が大切にしていた鈴の一
つだよ。
小桜姫はね、二つの鈴を大切にしていたの
だよ。もう一つの鈴はね…」
ここまで話すと、おとうさんは安心したの
か、かなの手をしっかりにぎりました。 


       
「かな、この鈴をいつまでも大切にするの
だよ」
こういうと、おとうさんは靜かに息をひき
とりました。


            つづく



童話「朝顔エスカレーター」は、
みほようこの三冊目の童話・「ふしぎな鈴」
朝顔エスカレーターの章に、収録されて
います。








「ふしぎな鈴」は、2005年9月、
「鳥影社」から発行されました。



リーン・リーン・リーン…。
500年の時をへて、心やさしい小桜姫と
現代の少女を結ぶ、美しい鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっと教えて
くれたお話。




    ふしぎな鈴


http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu3.html




http://www.bk1.jp/product/02593627



http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31593021