きよと清太と、そして白駒


   きよと清太と、そして白駒13


「おらをさそってくれたら、あんな悲
しい事故はおきなかったのに・・・。
ふくちゃんは、なぜ一人で守屋山へ行
ったのだろう?」
清太は、今でもふくの気持がわかりま
せん。



「おら、きよちゃんと初めて会った時、
ほんとびっくりした」
「なぜ、びっくりしたの?」
「ふくちゃんにそっくりだったから・・・。
ふくちゃん。やっぱり生きていたんだ
ねって、声をかけそうになった」



「私とふくちゃん、そんなに似ている?」
「ああ、よく似ている。姉妹でもない
のに、なぜにているのだろう? 
まるで双子みたいだ。顔もにているが、
むじゃきでかわいいところがそっくり
だ。二人とも、笑顔がすてきだね」



「ありがとう。清太さん。そんなふう
にいってもらえて、私うれしいわ」
きよは、うれしそうでした。
「きよちゃん。座禅草の花ことばを、
知っている?」
「知らないわ。清太さん、教えて」
「座禅草の花ことばはね、沈黙の愛だ
って」


            つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう悲しい伝説があります。


「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。



登場人物


・きよ  長者の一人娘

・清太  長者の家で働いている少年

・白駒 長者の家の馬