きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒18


「清太さん。私も、ゆうすげの花がみ
たいわ」
「きよちゃん。ゆうすげの花は、夕暮
れでないと咲かないのだよ」
「ゆうすげの花って、暗くならないと
咲かないの?」



「そうなんだ。ゆうすげの花は、うす
暗くならないと咲かないんだよ。
夕方遅く、二人だけで遠出することは、
長者が許してくれないだろうしね」



「私、とうちゃんに聞いてみる。もし、
とうちゃんが許してくれたら、ゆうす
げの花をみにつれていってくれる?」
「もちろん。一緒にゆうすげの花をみ
に行こう。長者が、夕方の外出を許し
てくれるといいね」
二人は、ゆうすげの花をみるのを、楽
しみにしています。
 


次の朝。
「とうちゃん。今日、清太さんと一緒
に、ゆうすげの花をみに行ってもいい?」
「どこへ行くんだい」
「霧ケ峰高原よ」
「きよ。ゆうすげの花は、夕暮れでな
いと咲かないのだよ」
「知っているわ。とうちゃん」


            つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう悲しい伝説があります。


「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。



登場人物


・きよ  長者の一人娘

・清太  長者の家で働いている少年

・白駒  長者の家の馬