火とぼし山


   火とぼし山39


すると、
「ねえ、次郎さん。これからも私
と会ってくれる」
「おらは、みよちゃんと会う気は
ない」
次郎が、ぶっきらぼうにいいました。



「なぜ? 次郎さん」
「おらには、小さな時からつきあ
っている人がいる」
「誰なの?」
「そんなこと、知り合ったばかり
のみよちゃんにはいえないよ」



「次郎さんは、その人と結婚するの」
「まだ決めていない」
「じゃあ、私ともつきあって。
ね、いいでしょ。次郎さん」
二人の話を聞いていた明神さまは、
「やはり、こういうことだったのか」
と思いました。


            つづく



「おみわたり」で有名な信州の諏訪
湖には、「火とぼし山」という悲し
い伝説があります。



「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。