鹿になった観音さま21
「タケル、チハヤ。元にもどれて
よかったのぅ」
和尚の目から、涙があふれました。
「タケル、チハヤ。さあ、たくさん
おあがり」
和尚は、二匹の犬にえさをやりま
した。
二匹の犬は、よほどおなかがすい
ていたのでしょう。
あっという間に食べてしまいました。
和尚は、二匹の犬をうれしそうに
みていました。
すると、
「和尚さま。た、大変です」
こぞうが、とびこんできました。
「そうぞうしい。なにごとじゃ」
「和尚さま。裏の畑に、大きな石
がころがっています」
「何? 石が。どんな石じゃ」
つづく
「鹿になった観音さま」は、立石寺
に伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いた物語。
初めて読んでくださったかたへ
鹿になった観音さま1
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080606#p1
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