鹿になった観音さま

[童話]鹿になった観音さま


鹿になった観音さま 17


「タケル、チハヤ。なぜ石になってしまった
のじゃ」
和尚は、石になってしまったタケルとチハヤ
を、何度もなでました。
そして、二匹の犬にお経をあげました。
二人は、石になった犬たちをつれて、寺へ帰
りました。


二週間後。
三郎が、寺にやってきました。
「三郎さ。この間は、世話になったのぅ」
「和尚さま。タケルとチハヤが石になってし
まい、さみしいでしょう」
「二匹の犬は、家族の一員だったから、さみ
しいのぅ。元にもどれるといいのじゃが」
和尚がさみしそうにいいました。


          つづく