赤い夕顔の花が咲いた


 赤い夕顔の花が咲いた48


「何、来年、真っ赤な夕顔の花が
咲くと。
わしは、赤い夕顔の花などみたこ
とがないわ」
おばあさんは、腹立ちまぎれにい
いました。



「赤い夕顔の花をみたことがなけ
れば、私が赤い夕顔の花を咲かせ
てみせましょう」
お万がいいました。
「馬鹿なことをいう奥がたじゃ」
おばあさんは、にやにや笑いなが
らいいました。



お万たちは、「おさわがせし申し
訳ありません」と頭をさげ、その
家を去りました。



なんて心のせまいおばあさんなの
でしょう。ことわりもなく夕顔の
花をとったことは、悪いことです。
でも、庭先には、数えきれないほ
どたくさん花が咲いていたではあ
りませんか。



その中の一つを、幼いこどもにあ
げようというやさしい気持がなぜ
ないのでしょう。


             つづく



   昨日の分は、こちら。


   赤い夕顔の花が咲いた47


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080921#p1




初めてこの物語を読んでくださった
 かたへ


     赤い夕顔の花が咲いた1


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080805#p1



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「赤い夕顔の花が咲いた」を続け
て読むことができます。



「赤い夕顔の花が咲いた」は、
信州の最南端にあった「権現城」
に伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いたもの。