赤い夕顔の花が咲いた50
「戦さえなかったら、長五郎にこ
んな辛い思いをさせなくてもすむ
のに。
一日も早く戦のない平和な世の中
になってほしい」
お万は、心の中でそっとつぶやき
ました。
お万たちは、浪合の実家に向かっ
て道をいそぎました。
その頃。
城主の盛永を、やりで刺し殺して
しまった犬坊は、むゆう病者のよ
うに、ふらふらと山の中をさまよ
っていました。
どこをどう歩いたのか、犬坊は思
い出せませんでした。
疲れはてた犬坊は、木の切り株に
腰をおろしました。
私は、この世で一番好きな盛永さ
まを、やりで刺し殺してしまった。
なぜあんなむごいことをしてしま
ったのだろう。
つづく
昨日の分は、こちら。
赤い夕顔の花が咲いた49
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080923#p1
初めてこの物語を読んでくださった
かたへ
赤い夕顔の花が咲いた1
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080805#p1
「次の日」「次の日」と押せば、
「赤い夕顔の花が咲いた」を続け
て読むことができます。
「赤い夕顔の花が咲いた」は、
信州の最南端にあった「権現城」
に伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いたもの。