母の短歌14


ペルーにて生まれいまだ顔も見ぬ一才半の

   水着にて写れる孫の写真届きぬ



文鳥に餌を与へつつ声かけし

   亡き夫想ひ巣箱を洗ふ



映画に見し野麦峠に今日来れば

   秋の雨降りあたりしずけし



在りし日のままなる夫の標札を

   動かして過ぐる夕風のあり