母の短歌40


農にあらぬ我の作りし蜀黍を

   一夜にハクビシン食ひ荒したり



下絵なしで唐草模様をひたすらに彫る

   沈金師の手元息つめて見る



楤の木の頂白く咲く花に

   蜂群れむれて今日も暮れゆく



霜枯れて桑の畑に電柱の

   落とす影長く冬に入るなり