母の短歌72


風そよぐままに散りくる杏の花

   水替へしばかりの蹲に浮く



娘の植ゑし一人静の若葉を濡らし

   待ちまちし雨一日降りつぐ



命ある限り作歌を続けむと言はれし

   先生のみ声耳に残れり



歌の道は一にも二にも努力なりと

   先生は常々励まし下されぬ