竜神になった三郎6
「家はどこ?」
「この近くなの。ほら、あそこに
みえる家よ」
「兄弟は何人?」
「私、一人っ子なの。おじいさん
と暮らしていたけれど、おじいさ
んもこの春なくなってしまったわ。
だから今は一人っきり」
村の娘とちがい、娘のことばは上
品でした。
二人とも初めて会ったのに、いつ
かどこかで会ったことがあるよう
な、とてもなつかしい気がしました。
「一週間後、もう一度ここであおう」
そう約束して、二人は別れました。
その日、三郎は軽い足取りで、家に
帰りました。
何時間もかかる長いみちのりも、急
な坂も、今日はへっちゃらでした。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20090530#p1
初めて読んでくださったかた
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20090526#p1
「竜神になった三郎」は、信州諏訪
の「風の神様」から聞いたお話。
「竜神になった三郎」は、みほようこ
の二冊目の童話集「竜神になった三郎」
に収録されています。