竜神になった三郎18
「おまえは本当に不思議な男じゃ
のぅ。そうだ、おまえを地の国の
王子に迎えよう」
「えっ、私が地の国の王子ですっ
て?」
「そうじゃ。人を少しも疑うこと
を知らないおまえを、この国の王
子にしてあげよう。
じつはこの王様には、あとつぎが
なくて、困っていた所じゃ。
これからおまえは、この国でのん
びりと暮らすがよい」
そういうと、神様はどこかへ行っ
てしまいました。
「いやー、困ります。私には妻が
います。
妻は私の帰りを、今か今かと待っ
ています。
だから私はどうしても家に帰らな
くてはなりません」
三郎は、大声でさけびました。
しかし、神様は、三郎のいうこと
など聞いてくれませんでした。
そして、三郎は、いやおうなしに地
の国の王子にされてしまったのです。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20090611#p1
初めて読んでくださったかた
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20090526#p1
「竜神になった三郎」は、信州諏訪
の「風の神様」から聞いたお話。
「竜神になった三郎」は、みほようこ
の二冊目の童話集「竜神になった三郎」
に収録されています。