笛の音よ、永久にひびけ15
若者と村の人たちは、何本も何本
も、笛を作りつづけました。
しかし、澄んだ音色のする笛はで
きませんでした。
「楓の木では、だめなのかもしれ
ない。あきらめるよりしかたがな
いのか」
若者は、弱気になりました。
「楓のためにも、私だけでもがん
ばってみよう」
若者は寝る間もおしみ、毎日笛を
作りつづけました。
「楓よ、もっと長生きしたかった
だろうに、人間のかってで切りた
おしてしまって、ごめんね」
若者は、笛を作りながら、楓に心
からわびました。
つづく
昨日の分は、こちら
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091219#p1
初めて読んでくださったかたへ
笛の音よ、永久にひびけ1
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091203#p1
「笛の音よ、永久にひびけ」は、
スキー大会の会場をつくるために
きりたおされた、信州の志賀高原
の樹令200年の楓のお話。
童話「笛の音よ、永久にひびけ」
は、みほようこの四冊目の童話集・
「ライオンめざめる」に収録され
ています。