開善寺の早梅の精


   開善寺の早梅の精13


どのくらいの時間がすぎたのでし
ょうか。
文次が目をさますと、梅香も、お
いしい酒も料理も消えていました。



文次は、一人ぽつんと、梅の木の
下に立っていました。
月あかりに照らされ、梅の花が美
しくみえます。
何事もなかったかのように、梅の
花の香りがあたり一面にただよっ
ています。



東の空が、だんだんに明るくなっ
てきました。
「ちゅん、ちゅん、ちゅん」
すずめの鳴き声も聞こえます。


            つづく



   昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100106#p1



   初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091225#p1




「開善寺の早梅の精」は、信州の
伊那谷にある「開善寺」に伝わっ
ている話をヒントにして書いたもの。