井戸で鳴く黄金色のにわとり24
「そうか。かわいそうに・・・」
信廉は、そういったままだまって
しまいました。
数日後。
大島城を逃れた信廉たちは、故郷
の甲斐にもどりました。
「わしは、姫を守ってあげること
ができなかった。
今度の戦では、おおぜいの人が怪
我をした。なくなった人もいる。
戦とは、むなしいものじゃのぅ」
愛する姫をなくした信廉は、戦を
する気力をすっかりなくしてしま
いました。
「わしの一生は、何だったのだろう。
大切なわが子さえ守ってあげること
ができなかった。
戦国の世とはいえ、戦・戦の一生だ
った。
もっとたくさん絵を描きたかった。
歌もたくさんよみたかった」
信廉は、甲斐の山をみながらつぶや
きました。
つづく
前回の分は、こちら
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100926#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100904/#p2
「井戸で鳴く黄金色のにわとり」
は、信州の伊那谷にあった「大島
城」に伝わっている話。
その話をヒントにして、みほようこ
が書いたもの。