井戸で鳴く黄金色のにわとり

[童話]井戸で鳴く黄金色のにわとり


井戸で鳴く黄金色のにわとり 25


「なぜだ」
「逃げているうちに、おつきのものとはぐれて
しまったようです。そして、三河の兵士たちに、
井戸の所までおいつめられたようで」
「そうか。かわいそうに・・・」
信廉は、そういったままだまってしまいました。


数日後。
大島城を逃れた信廉たちは、故郷の甲斐にもど
りました。
「わしは、なぜ姫を守ってあげることができな
かったのだろう。今度の戦では、おおぜいの人
が怪我をした。なくなった人も何人もいる。戦
とは、むなしいものじゃのぅ」


        つづく