瑠璃寺の青獅子14
梅雨があけたころ、獅子頭のお
おまかな形ができました。
「獅子よ。早く目をさましてお
くれ」
男は、獅子頭を何度もなでました。
大体の形ができると、目・まゆ・
鼻などを、ていねいに彫っていき
ます。
「ほら、おまえの目ができたぞ。
大きな目だね」
「どうだ。りりしいまゆだろ。
気にいったかい」
「このまあるい大きな鼻。
これが、おまえの鼻だよ」
男は、獅子に話しかけながら、細
かい部分を彫っていきました。
苦労したのは、上顎と下顎の部分。
いくら彫っても、うまくいきません。
男は、何度も何度も彫りなおしま
した。
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20101017#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20101005#p1
「瑠璃寺の青獅子」は、信州の伊
那谷にある「瑠璃寺」に伝わって
いる話をヒントにして、みほようこ
が書いた物語。
物語の無断転載・再配布を禁止し
ます。